若さゆえの切なさや誠実さを3MCならではのアプローチで表現するKICK THE CAN CREWが青春期の音楽だったなら、KREVAのソロは、より広範な感情をつづる、大人の男としての“青年期の音楽”になった。メロディアスな要素をもつ「音色」や「ひとりじゃないのよ」、アカペラで最後までもっていける普遍性をもった「希望の炎」ほか、ソロの発端になったナンバーもあれば、大きく振って、クラップがかなりアタック強めのトラックも多い。仲間を呼んでワイワイとループで作った1曲以外は完全一人レコーディングで、厳選した音源をいかに今の感覚でサンプリングして鳴らすかというこだわり、音数少なめのトラック、今ドキの女の子の喋りを導入したりするセンスに、彼一流のヒップホップへの愛を感じる。(石角友香)
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